ブンデスリーガ熱狂塾
第6回「世界最高のゴールキーパー」
2025年01月10日
ドイツ・ブンデスリーガ24/25
毎週日曜日よる7時より放送中の「サンデーサッカー ドイツ・ブンデスリーガ24/25」。一体どんなサッカーリーグなの?と、思っている方もいるのでは。そこで「ブンデスリーガ」がもっと “楽しく” もっと“おもしろく”なるコラムをお届け。
「ブンデスリーガ」は世界で最も熱狂的なリーグだと言われていることをご存知でしょうか。ドイツ在住歴もあるスポーツライター・コメンテーターとして活躍するミムラユウスケさんが、熱狂のポイントを語ります。2025年最初のテーマは、現在“後任”候補が話題となっているドイツサッカー界の偉大なるゴールキーパーの存在について。
第6回「世界最高のゴールキーパー」
ドイツサッカー界を引っ張ってきた守護神マヌエル・ノイアーのプレーが見られるのも、最大であと1年半程度かもしれない。
日本では、ゴールキーパーが人気のポジションではないと感じている。日本の子どもたちがサッカーをする際には「じゃんけんで負けた子がキーパーをやることが多い」と困惑している指導者は筆者の周りにも多い。また、筆者がスポーツショップに行ってみると、キーパー用のユニフォームが売っておらず、「在庫が極端に少ない」と感じることも少なくない。
しかし、ドイツでは違う。それはオリバー・カーンをはじめ、偉大なキーパーを多く輩出してきたからだろう。
そんなキーパー大国でも、ノイアーは別格のキャリアの持ち主だ。W杯には2010年大会から2022年大会まで、実に4大会に出場。2014年のブラジルW杯では優勝のキーマンとなった。
所属するバイエルンでは実に11回もリーグ優勝を経験しており、公式戦出場数は計540試合で名門のなかでも歴代8位の数字である。そして、現在もキャプテンを務めている。
ノイアーはかつて所属していたシャルケでもキャプテンを任されており、そのときに2011年の東日本大震災が起きた。当時のチームメイトである内田篤人が未曾有の大震災へのサポートを求めるのに協力して、試合後にゴール裏のサポーターの前まで誘導した姿を覚えている人もいるかもしれない。
ただ、そんなノイアーも今年3月27日には39歳になる。今シーズン末までの契約は来シーズン末まで延長されると見られているが、おそらくシーズン終了時に40歳になる来シーズンをもって、キャリアに幕を下ろす可能性が高い。実際、ドイツ代表での活動は昨年夏の欧州選手権をもって、すでに区切りをつけている。
世界中が注目する後継者となる男は一体誰だ!?
だからこそ、注目されているのが後任候補だ。
順当にいけば、現在はシュトゥットガルトへと3年間のレンタル移籍中であるアレクサンダー・ニュービル(28歳)が後釜にすえられると見られている。ただ、彼はバイエルンに戻るシーズンには30歳になる。何よりもバイエルン首脳陣からの信頼が低い。
そのため、ノイアーの後釜争いはし烈を極めている。現在はバイエルンの控えキーパーとして出場機会をうかがうイスラエル代表のダニエル・ペレス(24歳)に加えて、ケルン所属で、ドイツの年代別代表をほとんど経験してきている新星ヨナス・ウルビヒ(21歳)の獲得をバイエルンは狙っていると言われている。
さらに、ここにきて日本代表の守護神である鈴木彩艶(22歳)が後任候補に含まれているという報道まで出てきた。今後は鈴木だけではなく、世界中の若手キーパーの名前が候補として挙がってもおかしくはない。
結局、それだけ多くの後任候補選手の名前が挙がるのは、ノイアーがバイエルンでもドイツ代表でも偉大過ぎるキャリアを送ってきたからに他ならない。キーパーへの価値が高いがゆえに、キーパーへの評価も厳しい。そんな環境でかくも多くの試合でプレーし、数ええきれないほどのタイトルを手にしてきたのだから。
ただ、そんなノイアーも近年はケガに悩まされることも多く、昨年12月にも公式戦4試合を欠場した。年齢に加え、多くの試合でプレーしてきた勤続疲労も影響しているかもしれない。だからこそ、ドイツサッカーの歴史を作ってきたノイアーが出場する試合は、ブンデスリーガの歴史を記憶にとどめるためにも貴重なのだ。残された時間が決して長いとは言えない彼の雄姿、どうか、お見逃しなきように。
文=ミムラユウスケ
ミムラユウスケ/スポーツライター、コメンテーター。2006年7月に活動をはじめ、2009年1月にドイツへ渡る。ドルトムントやフランクフルトに住み、ドイツを中心にヨーロッパで取材をしてきた。Bリーグ開幕日の2016年9月22日より拠点を再び日本に移す。著書に「光と影」(武尊と共著)、「心が震えるか、否か」「千葉ジェッツふなばし熱い熱いDNA」(香川真司と共著)、横浜ビー・コルセアーズ「海賊をプロデュース」、「淡々黙々」(内田篤人と共著)。構成に「鈍足バンザイ!」(岡崎慎司)。
X(旧Twitter)@yusukeMimura
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