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ブンデスリーガ熱狂塾
第15回「審判」
 

2025年05月16日

ドイツ・ブンデスリーガ24/25

毎週日曜日よる7時より放送中の「サンデーサッカー ドイツ・ブンデスリーガ24/25」。一体どんなサッカーリーグなの?と、思っている方もいるのでは。そこで「ブンデスリーガ」がもっと “楽しく” もっと“おもしろく”なるコラムをお届け。

「ブンデスリーガ」は世界で最も熱狂的なリーグだと言われていることをご存知でしょうか。ドイツ在住歴もあるスポーツライター・コメンテーターとして活躍するミムラユウスケさんが、熱狂のポイントを語ります。ドイツサッカー界で今季、一人の審判が引退しようとしていました。

第15回「審判」

一人の審判の引退に合わせ、有名雑誌で大きな特集が組まれるところに、ブンデスリーガにおける審判の地位の高さとドイツ人によるリスペクトが表れている。

今季のブンデスリーガの最終戦を前に、ドイツの老舗スポーツ誌『キッカー』の3つの巻頭特集記事のなかの1つで、審判の特集が組まれた。その審判の名はフェリックス・ブリッヒという。

2004年の8月にブンデスリーガの主審を初めて務めたブリッヒは、これまで358試合で主審を務めてきた。担当試合数はブンデスリーガ史上最多だ。それだけではない。ヨーロッパ各国の上位チームだけが許され、ヨーロッパで最も強いチームを決める「チャンピオンズリーグ」で主審を務めた試合数も69を数え、こちらも史上最多だ。なお、彼は2013年にブラジルで行なわれたコンフェデレーションズカップのメキシコ戦で、日本代表の試合の主審を任されている。

そんな名審判が、5月17日に行なわれる今季のブンデスリーガの最終節で、最後の舞台に立つ(本稿執筆時点ではどの試合を担当するかは未定。審判の割り当ては八百長や買収防止のため、直前にならないと明らかにされないため)。

冒頭で紹介した『キッカー』誌の優れていたところはブリッヒの功績だけではなく、過去のミスジャッジについても紹介しているところだ。

2013年に行なわれたホッフェンハイム対レヴァークーゼンの試合で、ブリッヒは痛恨のミスジャッジをしている。レヴァークーゼンのシュテファン・キースリンクの放ったシュートがゴールの少し外へ飛んだのだが、それがゴール裏のボードに跳ね返り、ゴール方向に転がっていった。そのとき、あろうことかゴールネットの一部が破損しており、ゴールネットを裏側から突き抜ける形で、ボールがゴールの中に転がった。そして、そのボールの位置を見たブリッヒは、これを得点として認めてしまったのだ。ゴールネットの一部が破損していなければありえないような出来事だったし、ボールの行方だけを見ていれば起こりえないようなミスでもあった。ただ、試合中の審判はボールの行方だけではなく、選手同士の競り合いでファールが起きないかなど、様々なところに目を配っている。いくつもの要因が重なり合い、あのようなミスが生まれてしまったのだ。後にブリッヒ自身もミスジャッジを認めているし、あの試合が自身の審判としての生き方を見直し、リスタートを切らせてくれた瞬間だと考えているということも記事のなかでは触れられている。

どんな名選手でもミスを犯すのと同じように、いくら優れた審判であってもミスは犯す。ただ、審判がミスをすると、選手がミスをしたとき以上に大きな批判がさらされる。あの試合でのミスは普通に考えれば起こりえないようなものだったが、それでもブンデスリーガやドイツ人たちは彼を受け入れた。だからこそ、ブリッヒはその後も多くの試合で笛を吹き、最終的にはドイツ人として歴史に名を残すような記録を打ち立てたのだった。

老舗スポーツ誌が、偉大な審判の功績だけではなく、失敗についても当然のことのように触れるところに、ドイツサッカー界の持つ懐の深さが表れている。

文=ミムラユウスケ

ミムラユウスケ/スポーツライター、コメンテーター。2006年7月に活動をはじめ、2009年1月にドイツへ渡る。ドルトムントやフランクフルトに住み、ドイツを中心にヨーロッパで取材をしてきた。Bリーグ開幕日の2016年9月22日より拠点を再び日本に移す。著書に「光と影」(武尊と共著)、「心が震えるか、否か」「千葉ジェッツふなばし熱い熱いDNA」(香川真司と共著)、横浜ビー・コルセアーズ「海賊をプロデュース」、「淡々黙々」(内田篤人と共著)。構成に「鈍足バンザイ!」(岡崎慎司)。

X(旧Twitter)@yusukeMimura

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