毎週日曜日よる7時より放送中の「サンデーサッカー　ドイツ・ブンデスリーガ24/25」。一体どんなサッカーリーグなの？と、思っている方もいるのでは。そこで「ブンデスリーガ」がもっと “楽しく” もっと“おもしろく”なるコラムをお届け。

「ブンデスリーガ」は世界で最も熱狂的なリーグだと言われていることをご存知でしょうか。ドイツ在住歴もあるスポーツライター・コメンテーターとして活躍するミムラユウスケさんが、熱狂のポイントを語ります。今回のテーマは、ブンデスリーガにおける“伝統の一戦”について――

第3回「伝統の一戦」

そんな意味を持ち、ドイツ語で“Der Klassiker”という銘打たれるのがボルシア・ドルトムントとバイエルン・ミュンヘンによる対戦だ。なお、これがスペイン語では”El Clásico”となり、バルセロナとレアル・マドリードによる一戦を指す。「クラシコ」はサッカー界でもっとも有名なライバル対決を指す言葉だから、そこまで詳しくない方でも聞いたことがあるかもしれない。

要は、ドイツではそれくらい注目を集めるのが12月1日（日）に放送される、今回の試合なのだ。

この対戦が“Der Klassiker”と呼ばれて、注目を集める理由はどこにあるのか。以下に両チームの主な功績などを載せよう。

データで解説！“伝統の一戦”と呼ばれる理由とは

□ドルトムント

・昨シーズンの平均観客動員数：1位

・ブンデスリーガ優勝回数：2位

・チャンピオンズリーグ（※欧州のクラブナンバー１を決める大会）優勝回数：（ドイツのチームのなかで）2位

・ドイツ代表（ドイツサッカー協会）のミュージアムがある都市・ドルトムントを本拠地とする。

□バイエルン

・昨シーズンの平均観客動員数：2位

・ブンデスリーガ優勝回数：1位

・チャンピオンズリーグ1位

・2006年ドイツW杯および2024年欧州選手権（いずれもドイツ開催）の開幕戦が行なわれた都市・ミュンヘンを本拠地とする。

つまり、この両チームはブンデスリーガの歴史を担ってきた両チームなのだ。このデータを読めば、2チームの対戦が「伝統の一戦」と呼ぶのにふさわしいことがわかるはずだ。

今季のドルトムント／バイエルンのチーム状況は？

ただ、今回の対戦を前に、両チームの置かれた状況は対照的だ。

まず、どちらのチームとも、今シーズンから新しい監督を迎え入れたという共通点がある。

バイエルンのヴァンサン・コンパニ監督は、かつてチームを指揮したジョゼップ・グアルラディオラの推薦などもあり、チームに招き入れられた。徹底してパスをつなぐスタイルが注目されているが、それによって彼がバイエルンにもたらしたのは「自分たちはドイツで最も強いチームなのだ」という誇りとプライドだ。それもあって、順調に首位を走っている。

対するドルトムントのヌリ・シャヒン監督は、トルコ代表を選択した人物ではあるが、ドルトムントの育成組織出身の指導者だ。2010－11シーズンの優勝の立役者であり、現役時代には長らくチームの中心としてチームメイトを牽引してきた。ただ、開幕から11試合を終えた時点で、首位バイエルンに勝ち点で10点も離されてしまっている。シャヒンは戦術家の監督として期待されていたものの、チームの好不調の波が大きく、その点でも批判の対象となってしまっている。

ところが、今回の試合が行なわれるのは、ドルトムントの本拠地ジグナル・イドゥナ・パルクだ。ドルトムントサポーターの集うゴール裏のスタンドだけで約25,000人が、スタジアム全体では80,000人以上が収容できる会場なのだ。つまり、ドイツで最も熱狂的なサポーターの声援を受けて、プレー出来るというメリットがドルトムントにはある。

今シーズンのここまでを振り返ればバイエルン有利となる一戦だが、ドルトムントにはブンデスリーガを象徴するような熱狂的なサポーターがいる。だからこそ、今回の試合はどう転ぶかわからない、観戦するのが楽しみな試合なのだ。

文＝ミムラユウスケ

ミムラユウスケ／スポーツライター、コメンテーター。2006年7月に活動をはじめ、2009年1月にドイツへ渡る。ドルトムントやフランクフルトに住み、ドイツを中心にヨーロッパで取材をしてきた。Bリーグ開幕日の2016年9月22日より拠点を再び日本に移す。著書に「光と影」（武尊と共著）、「心が震えるか、否か」「千葉ジェッツふなばし熱い熱いＤＮＡ」（香川真司と共著）、横浜ビー・コルセアーズ「海賊をプロデュース」、「淡々黙々」（内田篤人と共著）。構成に「鈍足バンザイ！」（岡崎慎司）。

X（旧Twitter）@yusukeMimura

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