初夏の江戸。身元不明の遺体があちこちで発見される。被害者はどうやらみな仕事人のようで、口には三途の川の渡し賃とされる六文銭が…。中村主水（藤田まこと）が属する仕事人グループの元締め・おりく（山田五十鈴）は、この話を聞いて何かを考えているようだった。そんなある日、主水たちのもとへ隠し売女のお君（林佳子）がやってきて、出会い茶屋の主・伝次（中田浩二）の始末を依頼してくる。

『必殺』シリーズ通算600回を記念して製作された劇場版で、本作のヒットを機に以後4作品はおよそ1年のペースで公開されている。注目すべきは、花形人形師の役で登場する片岡孝夫（現・片岡仁左衛門）のゲスト出演。裏の顔は“蝶々の朝吉”という異名を持つ仕事人で、蝶の形をした花吹雪が舞う中、扇子に仕込んだ刃で敵を斬るという、殺しの手口のなかでもどこか気品の漂う仕事を披露している。

≫≫『必殺！ ＴＨＥ　ＨＩＳＳＡＴＳＵ』詳細

時は幕末。徳川家康によって建てられた京都の黒谷屋敷にはある秘密が隠されていた。これを嗅ぎつけたのは、京都公卿を中心とする倒幕派と神戸の武器商人ブラウンを中心とする外国人グループ。屋敷の権利書と絵図が何者かに奪われたことをきっかけに、中村主水（藤田まこと）ら仕事人たちも両者の争いに巻き込まれてしまう。

コメディ要素がたびたび盛り込まれる『必殺』シリーズの中でも、特にそれが色濃く出ている劇場版二作目。明石家さんまが沖田総司、西川のりおが土方歳三を演じるなど、多くのテレビタレントがゲスト出演して話題を呼んだ。また、映画や戯曲のパロディも満載。悪役の外国人グループが自転車に乗っている様子は、大ヒット映画『Ｅ.T.』の名シーンを想起させる。

≫≫『必殺！ブラウン館の怪物たち』詳細

南町奉行所同心・中村主水（藤田まこと）の同僚である清原英三郎（川谷拓三）が殺された。彼は裏で悪行を働いており、両替商・舛屋仙右衛門（成田三樹夫）をゆすっていたという。清原の妻であるおこう（松坂慶子）は、舛屋の代理人を名乗る真砂屋徳次（伊武雅刀）を訪ね、夫殺害の黒幕を知る。一方、主水も別件で舛屋を訪ねており…。

前作『必殺！ブラウン館の怪物たち』からガラリと作風が変わり、全編通してシリアスかつハードな内容となっている。これまでは“向かう所敵なし”状態だった仕事人たちが、敵の刺客たちに苦戦を強いられるだけでなく、殺されてしまう展開も。重たいストーリーながらも、数ある『必殺』シリーズの中で強烈なインパクトを放っている。

≫≫『必殺！Ⅲ 裏か表か』詳細

奉行所内で起きた事件の責任を問われ、ペナルティを受けることになった中村主水（藤田まこと）。その数日後、若い女性と見間違うほど美しい奥田右京亮（真田広之）が、後任の奉行として着任する。同じ頃、旗本愚連隊が暴れまわり、それに巻き込まれた一人の浪人が不審な死を遂げる。事の一部始終を見ていた主水は、この浪人の娘からの依頼で事件の真相を探り始める。その裏には、老中や将軍をも巻き込んだ陰謀が潜んでいた。

『必殺』TVシリーズ放映15周年を記念して製作された劇場版第4弾。TVシリーズ一作目の第1話と2話でメガホンをとった巨匠・深作欣二が監督を務めている。注目すべきは、話題のドラマ『SHOGUN 将軍』で日本人初となるゴールデングローブ賞・主演男優賞を受賞した真田広之。本作で初めて悪役を演じている。さらに、深作作品の常連である千葉真一がゲスト出演するなど、豪華なキャスティングが見どころ。

≫≫『必殺４ 恨みはらします』詳細

大量の金を載せて佐渡を出港した御用船が、何者かに襲われて沈没した。この噂は瞬く間に広がり、江戸の金相場は急騰する事態に。そんななか、中村主水（藤田まこと）のもとに、金座後藤家の女当主・千勢（山本陽子）からの依頼が舞い込む。御用船の船員たちの仇討ちと引き換えに、五百両が支払われるという。話が上手すぎると訝しんだ主水は仕事を断るが、代わりにこれを引き受けた仕事人が、黒装束の集団「地獄組」に襲われ――。

前作『必殺４ 恨みはらします』から4年のブランクを経て製作された劇場版第5作目。中村主水ら仕事人たちが、金相場を操りボロ儲けをたくらむ悪徳勘定奉行一味と対峙するストーリーが描かれる。くわえて、村上弘明が演じる人気キャラクター・政と、酒井法子扮する不思議な力を持った娘・お浅による淡いラブストーリーも、今作の軸の一つとなっている。

≫≫『必殺！５ 黄金の血』詳細

南町奉行を解雇されることとなり、家族から見放された中村主水（藤田まこと）は、愛人との生活に向けて準備を進めていた。そんなある日、浮世絵師の葛飾北斎（鈴木清順）が脳卒中で亡くなる。奉行所はただの病死と判断するが、娘のお栄（美保純）は、父親の死に一枚の似顔絵が関わっているのではと考え、主水に犯人探しをしてほしいと相談する。まもなくして、主水は街中で似顔絵に似た大道芸人・捨蔵に出会う。捨蔵は男の身なりをしているが実は女性。さらに、彼女を育てているのは、かつての仕事仲間・お千代（名取裕子）であることが発覚する。

TVシリーズ『必殺仕置人』での初登場から数えて23年、藤田まこと扮する中村主水の活躍に一旦の終止符を打った劇場版最終編。第1作目の『必殺！ ＴＨＥ　ＨＩＳＳＡＴＳＵ』を手掛けた貞永方久が本作でも監督を務めている。人気キャラクターの最期がどのように描かれるのか、ぜひご自身の目で見届けてほしい。

≫≫『必殺！主水死す』詳細

南紀白浜に建つ絹村夫妻の別荘に、医者の棚瀬秀雄（寺尾聰）と妻・紀子（大竹しのぶ）ら親しい客が集まった。楽しい夜を過ごしていると、そこに秀雄の元恋人である橘まゆみ（藤真利子）が訪ねてきて、「借りた別荘の電気がつかず困っているので助けてほしい」と、秀雄を連れ出していく。翌朝、絹村夫妻と客人たちは釣りをしに出掛けるが、海岸に一発の銃声が鳴り響き…。

『ゼロの焦点』『八つ墓村』『砂の器』など、骨太ミステリーで知られる野村芳太郎監督が、アガサ・クリスティの推理小説「ホロー荘の殺人」を映像化。石坂浩二が推理小説家に扮し、不可解な事件の真相に迫っていく。また、この週で特集した『必殺』シリーズにおいて、飾り職人の秀を熱演した三田村邦彦が、本作では二人の“危険な女”との関係に揺れる男性を演じている。

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