儚く世を去った男女が蝶の姿となって舞い踊る。
春の野辺に助国と小槇が姿を現す。この世で結ばれることのなかったふたりは、蝶の姿となって戯れ遊ぶが、地獄の責めに遭い、その羽ばたきを止めるのだった。助国、小槇の悲恋を主題としたドラマティックで幻想的な義太夫舞踊。江戸時代に初演された「けいせい倭荘子」の五段目にあたる部分。
(2011年/平成23年5月・明治座)
戦から戻った源氏の武将熊谷直実は、息子小次郎の初陣を心配する妻相模や、我が子平敦盛を案じる藤の方に向かい、須磨の浦で敦盛を討ちとった様子を語って聞かせる。そこに源義経が現れ、敦盛の首実検が行われるが、直実の差し出した首桶の中にあったのは、なんと息子小次郎の首。直実は義経の思いを汲み取り、後白河院の落胤である敦盛を助けるために我が子を犠牲にしたのだった。
(2014年/平成26年11月・歌舞伎座)