初秋のある日、秋山小兵衛は貧しい身なりをした浪人と知り合い、鷺巣見平助というその男の人柄の良さと剣の腕前を察した。大治郎が同じ流派の道場を訪問していたところ、道場破りが現れた。平助である。門人を一人二人と倒した平助に、大治郎が名乗りを上げ、刀を交わすことに。五分五分の腕前ながら、大治郎の木刀が平助の腹をかすめ、平助は潔く負けを認めて去って行った。
あるとき平助は道場破りで稼いだ金を小兵衛に差し出し、生き別れた娘にわたしてほしいと頼む。そのころ、平助の道場破りで面子を潰された大場道場の主が激怒し、平助の居場所を突き止めるよう高弟に命じる。