サタデー歌舞伎特等席『壇浦兜軍記 阿古屋』『隅田川』
最終回となる今回は、映画化も話題の小説「国宝」に登場する二演目。若手俳優が初役で挑む女方の大役、そして人間国宝・坂東玉三郎による深い心情の世界をご堪能ください。『壇浦兜軍記 阿古屋』
平家滅亡後、武将悪七兵衛景清の行方を問い質すため愛人の遊君阿古屋が引き出される。詮議を指揮する重忠は、言葉に嘘があれば音色が乱れるに違いないと考え、琴、三味線、胡弓を弾かせ心の内を推し量ろうとするが…。
女方屈指の大役を演じるのは長年玉三郎ただ一人だったが、指導を受けた梅枝(現・時蔵)、児太郎が本公演で初めて挑んだ。玉三郎の岩永も見逃せない。
(2018年12月・歌舞伎座)『隅田川』
子を失った母の悲痛な姿を描いた哀しくも幻想美あふれる舞踊。原作は能「隅田川」。「坂東玉三郎特別舞踊公演」にて清元ではなく長唄の新曲で上演された。
人買いに連れ去られ京都から隅田川のほとりまで来た梅若丸は、病になり置き去りにされて12歳の若さで死んだ。一年後、我が子の行方を尋ね狂気になった母・斑女の前が辿り着き、渡し船の舟長から我が子の死を知らされ嘆き悲しむ…。
(2005年6月・南座)
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